認知症の予防に効果的な食品成分
認知症予防に役立つ食品は、青魚、緑黄色野菜、豆類、果実類、カレー(クルクミン)、コーヒー、緑茶、赤ワインなどが知られています。これらの食品に含まれる栄養素が認知症予防に有効とされています。
オメガ3脂肪酸
青魚に多く含まれるDHAとEPAは脳を構成する成分の一つであり、摂取することが記憶力や判断力の向上や認知症の予防に有効であるとされています。
葉酸
緑黄色野菜や豆類、果実類に多く含まれる葉酸は、血液中のホモシステイン濃度を減少させ、結果として動脈硬化の進行による脳血流量の低下を抑制することから、認知症発症リスクの軽減に寄与しています。
クルクミン
カレー粉に含まれるウコンの成分であるクルクミンは、アルツハイマー型認知症の研究で、認知症の原因となるアミロイドβの蓄積を抑制することにより、認知機能の低下を予防する効果が認められています。
ポリフェノール
コーヒーや緑茶に含まれるクロロゲン酸やカテキンなどのポリフェノール、オリーブオイルに含まれるポリフェノール類、赤ワインやぶどうの皮に含まれるレスベラトロールというポリフェノールは、いずれも抗酸化作用によりアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβの脳内での蓄積を抑える効果が明らかにされています。
ナットウキナーゼ
納豆に含まれるナットウキナーゼは、血栓の主成分であるフィブリンを溶かす働きがあり、脳血流の改善により認知機能の低下を防ぐ効果が示されています。
ビタミンE
ビタミンEは、ポリフェノールと同じく強力な抗酸化作用を持ち、脳細胞の損傷を防ぐことで認知症発症のリスクを軽減させる可能性があります。
ビタミンB12
ビタミンB12は神経細胞の健康を維持し、認知機能の低下を防ぐ効果が期待されています。肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品に多く含まれています。
ビタミンD
ビタミンDは骨の健康だけでなく、脳の健康維持にも大きく関与します。ビタミンD不足は認知機能の低下と相関するとされています。日光を浴びることで体内で生成されるほか、魚、卵黄、強化乳製品などからも摂取できます。
※ビタミン類はレバー、ナッツ類、緑黄色野菜などに多く含まれています。
亜鉛
亜鉛は神経細胞の健康を維持することで認知機能の低下を防ぐ効果があります。亜鉛は神経伝達物質の生成やDNAの修復に関与しており、特に高齢者では亜鉛不足による認知機能の低下が指摘されています。亜鉛を多く含む食品には、牡蠣、牛肉、レバー、ナッツ類、豆類などがあります。
セレン
セレンは強力な抗酸化作用をもつミネラルで、体内での酸化ストレスを軽減することで細胞のダメージを防ぎます。セレンは脳の健康維持に必須なミネラルで、セレン不足は認知機能の低下と関連しています。セレンが多く含まれる食品には、ブラジルナッツ、マグロやサーモンなどの魚類、卵、全粒穀物などがあります。
リチウム
リチウムは神経細胞の保護や新生を促進する効果があり、認知症予防に効果があるとされています。リチウムが多く含まれる食品には、ミネラルウォーター、海藻類、小魚(イワシなど)があります。
マグネシウム
マグネシウムは神経伝達や筋肉の収縮に関与し、脳の健康をサポートします。マグネシウム不足※は認知機能の低下と深く関連しており、特にストレスを感じる時はマグネシウムの摂取が重要です。マグネシウムが多く含まれる食品は、ナッツ類、種子類、緑色野菜(ほうれん草など)、全粒穀物があります。
※マグネシウムの過剰摂取は倦怠感、傾眠作用、嘔吐や筋脱力などが生じます。
鉄
鉄は酸素を運搬するヘモグロビンの構成要素であり、脳への酸素供給をサポートします。鉄不足は貧血(鉄欠乏性貧血という)を起こし、認知機能の低下を招くことがあります。鉄が多く含まれる食品は、赤身の肉、レバー、豆類、ほうれん草などがあります。
オレイン酸アミド
カマンベールチーズに含まれるオレイン酸アミドという成分が、脳由来神経栄養因子(BDNF)の血中濃度を高めることが明らかにされています。血中BDNF濃度が高いほど記憶や学習能力などの認知機能評価スコア(MMSE)が高いことが判明しており、認知機能の低下抑制につながる可能性が示唆されています。また、睡眠の質、入眠時間の改善なども報告されており、認知症の発症リスク軽減に寄与すると考えられています。
ミネラル
ミネラルは脳が必要とするエネルギーを作るサポートをします。ミネラルは海藻類や果物に多く含まれています。
アスタキサンチン・CoQ10
サケやイクラなどに含まれるアスタキサンチンやコエンザイムQ10(CoQ10)の抗酸化物質が、認知機能の改善に効果があるとされています。
コリン
コリンは神経伝達物質アセチルコリンの前駆体で、記憶や学習に重要な役割を果たします。卵黄、レバー、大豆製品などに多く含まれます。
プロバイオティクス
プロバイオティクスは腸内環境を整える善玉菌で、腸と脳の関係(腸脳相関)を通じて認知機能に影響を与えることが知られています。ヨーグルト、キムチ、納豆などの発酵食品に含まれます。
これらの成分を含む食品を日常的にバランスよく摂取することで、認知症予防に役立つ可能性があります。また、適量を守ることも大切です。なお、普段の食事でこれらを十分量を取るのは難しいので必要に応じてサプリメントなどで補うのも良いでしょう。
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