ワクチンで脳を守る?予防接種がきっかけになる認知症予防の新しい視点

秋はインフルエンザの予防接種が始まる季節です。今年は早くも全国的に流行期に入っており、毎年欠かさずワクチンを打っている方も多いでしょう。最近、この「ワクチン接種」が認知症予防にも関係しているのではないかという研究が注目されています。
アメリカやイギリスの研究では、帯状疱疹ワクチンを接種した人は、そうでない人に比べてアルツハイマー型認知症の発症率が低かったという報告があります。さらに、インフルエンザやコロナ、肺炎球菌などのワクチンでも同様の傾向が見られ、感染症を防ぐだけでなく、脳の健康維持にもよい影響を与えている可能性があるのです。
そのメカニズムについてはまだ完全には解明されていませんが、一つの説として「免疫の活性化」が関係していると考えられています。ワクチンによって免疫細胞が適度に刺激されることで、脳内の炎症や老廃物の蓄積(アミロイドβなど)を抑える働きがあるのではないかといわれています。
もちろん、ワクチン接種がすぐに認知症を防ぐわけではありません。しかし、感染症を予防して体調を崩さずに活動的に過ごせることも、脳の健康を保つうえで重要です。実際、日常生活で元気に動けることは認知機能の維持に直結します。
今年のインフルエンザ流行期を迎え、重症化を防ぐことはもちろんですが、「自分の脳を守る」ための一歩として、インフルエンザやコロナ、帯状疱疹などの予防接種を検討してみてはいかがでしょうか。体を守りながら、脳の健康も意識する習慣が、将来の認知症リスクを下げるかもしれません。